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ディレクター必見!英語版・統合報告書のプロジェクト開始前に確認すべき5つのポイント
英語版の統合報告書 制作に悩んでいませんか?
投資家・株主向けの資料として重要な「統合報告書(Integrated Report)」。昨今は国内のみならず、海外の機関投資家やステークホルダーとの対話強化が求められており、情報開示の対応に英語版を発行する企業が増えています。
英語版作成のご担当者の中には、急に制作が決まり「初めてで何を確認すればいいのか分からない…」と不安を感じている方もいるかもしれません。あるいは、次年度版の制作を迎えるにあたり「前回より効率よく進行を進めたい」「より質の良いものへ改善したい」などと考えている方もいらっしゃることでしょう。
本記事では、これまでオレンジ社が多数の企業支援を通して蓄積した知見から、英語版・統合報告書のプロジェクト開始前に、ディレクターとして押さえるべき5つのポイントを厳選してご紹介します。
よくある悩み:英語版統合報告書の制作で直面する課題とは?
英語版統合報告書の制作に着手する際、事前準備が不十分なまま進行すると、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。まずは、ポイントを押さえない場合どのようなことが起こりうるか、いくつかの例を取り上げます
すでに制作経験のあるご担当者の方であれば、以下のような課題に心当たりがあるかもしれません。
英語版の統合報告書の作成で起こりうるトラブル例
【用語・表記のばらつき】
英語版統合報告書の多くは、日本語原稿をもとに翻訳を行います。翻訳自体は、翻訳会社への外注や、社内での内製など対応方法はさまざまですが、この時、何のルールもなく、本文だけを対象として翻訳を進めると、用語のばらつきや表記ゆれが生じやすくなります。
用語に統一性のない文章は、読み手に違和感を与えてしまう要因となり、制作物の品質に関わります。特に、多量な文章が対象となる場合は、複数の翻訳者が関わるケースが多く、その人や工数の数だけ表現のばらつきが生じやすくなります。のちの修正も大変で、原稿が上がってきた後に対応すると、修正の手間や再チェックなど、進行にも大幅な遅れが生じてしまう可能性もあります。
【進行管理の負荷増大】
統合報告書の日・英版を作成する場合、通常のスケジュールとは別に、英文原稿の作成(翻訳)も含めた英語版のスケジュールの管理を行います。
この時、もし翻訳作業やデザイン制作などを別々の制作会社に依頼して進める場合は、各窓口の担当者と連絡をとる必要があります。
あるいは、万が一作業に遅延が発生した場合、社内外のリソースを把握した上、スケジュールの調整の対応をすることとなり、ディレクションの負荷が増大します。
【英語版デザイン制作に伴うレイアウト調整】
英語版の作成では、原稿の翻訳だけでなく、実際に掲載する冊子のレイアウト調整も必要となります。
同じ文章でも、日本語より英語の方が、分量が多くなるパターンが多いため、翻訳済み原稿をそのまま当てはめるだけでは済まないケースがほとんどです。
そのため、日英共に同じデザイン(ミラーデザイン)を採用していても、違和感のない文章の段落調整やページ全体の再編を行うのに、各ページでDTP編集作業が必要です。
また、見た目だけでなく、ネイティブの読者が読んでも違和感のない構成と表現への配慮も不可欠です。
こういったことが発生してくると、ディレクターの負担増加だけでなく、「制作の納期遅れ」や「制作物の質の低下」が発生し、会社内外からの「信用低下」にも繋がりかねません。
「制作の納期遅れ」に対しては、事前準備をしっかり行うことで、トラブル防止や臨機応変な対応を行うことができます。
また、「制作物の質の低下」においては、英語版・統合報告書のフォーマットに準じた公式文書としてのデザイン制作や、専門性に準じた英語翻訳の対応、IR資料として適切な内容かの全体チェックが可能な関連会社を、ビジネスパートナーとして選定することも大切です。
具体的な解決策:プロジェクト前に確認すべきチェックポイント
では、実際に行うべき事前準備として、どのようなことがあるでしょう。前節のトラブル例への対策も兼ねて、大きく5つのチェックポイントを挙げます。
英語版統合報告書の制作を円滑に進めるための5つのポイント
1. 翻訳方針・品質管理体制の明確化
2. 英語での表現・用語統一のルール整備
3. 原稿確定スケジュールの設定と遵守
4. ターゲット読者(海外投資家等)に合わせた情報設計の確認
5. 関係者との役割分担・承認フローの明確化
1. 翻訳方針・品質管理体制の明確化
英語版作成の中核となるのが翻訳作業です。まずは誰(どの制作会社)に依頼するのか・社内での校正担当とフローの選定を定めます。
依頼先が社外となる場合は、大まかな依頼文量、期間(提出希望日)、翻訳対象言語などを定め、どの企業に依頼するか比較検討を行う必要があります。また、翻訳を外部に依頼する場合でも、品質管理徹底のため、英文の誤訳やニュアンスチェックは、社内でも担当を定めて校正できるとよいでしょう。
その場合はチェック期間、お戻しを受けた後の修正期間(再校、念校など)の工程が増えるので、あらかじめ余裕のある日程でスケジュールへ反映しましょう。
(作業例)専門翻訳者の起用+社内レビュー体制の構築を事前に整備。
2. 英語での表現・用語統一のルール整備
英語版原稿の翻訳作業に向けて、「用語集・ガイドライン」を作成します。
企業によっては、自社特有の用語があったり、固有名詞に対する訳が既に定められている場合があります。このガイドラインが事前に共有されることで、様々な翻訳者が関わる場合でも、特定の用語に関する表記ゆれを防ぐことができます。
また、原稿チェック工程でも、ブレない指標でチェックを行うことができるため、後から全部の原稿に修正を反映するといった手間も、なるべく減らすことができます。
初期段階での共有が品質維持につながるため、用語集・ガイドラインの存在はとても重要といえるでしょう。
(作業例)前回の翻訳やIR資料から用語集を整備し、翻訳者・編集者と共有する。
3. 原稿確定スケジュールの設定と遵守
企業によって、作業工程のフローは異なる場合がありますが、多くの場合、実際の翻訳作業、冊子デザインの工程に進むには、まず日本語版の原稿確定時期を認識する必要があります。
原稿の遅延はそのまま翻訳やDTPスケジュールの遅れに直結し、納期遅延やミスを引き起こす原因になるからです。
そのため、英訳作業の開始・納品スケジュールの選定前に、原稿を作成・校正チェックを行う部署や担当者には、事前にプロジェクトの内容を連携のうえ、リソースや作業期間などをしっかりすり合わせることが大切です。
(作業例)各部門と調整し、余裕ある翻訳期間を確保する。
4. ターゲット読者(海外投資家等)に合わせた情報設計の確認
統合報告書の英語版は、海外投資家などターゲット読者に対して最適化された情報発信ツールでもあります。
よって、英語版独自に強調すべき情報や、読者にとって馴染みの薄い内容への補足が必要となる場合があります。これは、海外投資家など異なる文化的・経済的背景の読者に向けて、効果的な情報提供を行うためです。
したがって、より戦略的な情報開示を狙うのであれば、原稿構成の段階で、何を最もアピールしたいか、どういうことを知って評価してもらいたいかなど、ターゲットごとに配慮する事柄を確認した上で、制作を始める必要があります。
(作業例)読者が理解しにくい専門情報の補足、英語版で強調したい企業方針や施策、グローバルスタンダードとの整合性などを踏まえた編集方針を定める。
5. 関係者との役割分担・承認フローの明確化
プロジェクトに関わる会社や人々が決まった段階で、必ず確認しておきたいのが「誰が何を担当するか、いつ、誰の承認が必要か」です。
各々でポジションが決定されますが、実際の役割分担が不明瞭な状態のままだと、いざ制作が始まった後に、承認遅れ・責任の曖昧化が発生し、トラブルの原因にもなりかねません。
逆に、各々の裁量とする範囲が分かっていれば、互いに進捗を確認し合うこともでき、滞りない進行につながります。
(作業例)プロジェクト開始時に関係者の担当ポジションを明示、承認フロー図を作成する。
具体的な解決策:プロジェクト前に確認すべきチェックポイント
英語版統合報告書の制作において、事前準備と並んで重要なのが、クライアントや関係者との関係調整です。
例えば、制作パートナーとして信頼関係を築くためには、「予算」「スケジュール」「企画要件」の3要素におけるすり合わせが欠かせません。
もちろん、各々の要望を全て満たせないこともあり、譲歩することが求められる場合もあります。そのため、このプロジェクトにおいて、何を優先すべきか(予算か、納期か、目的達成か)という共通認識を、プロジェクト開始時点で持っておくことが重要です。
大切なのは、相手の希望を伺いつつ、自分たちの都合も含めた合意形成、あるいは折衷案で進行を進められることです。
他にも、クライアントとの話し合いで出た企画や情報は、未確定の内容でも、あらかじめ共有・想定のうえ、スケジュールに反映しておくとよいでしょう。想定される情報や工程を事前に考慮しておくことで、スケジュール変更時にも柔軟に対応できます。
また、どれだけ丁寧に想定・事前準備をしても、実際のプロジェクト進行では予定通りに進まないことも多々あります。進捗をこまめに確認し、遅延や変更があった場合は都度調整を行うことで、信頼関係を保ちながら、安定した進行ができるでしょう。
まとめ
確認内容 | 理由 | 対策 | |
---|---|---|---|
翻訳方針・品質管理体制の明確化 | ・誰が翻訳するのか(外注 or 社内) | 誤訳やニュアンスのずれによる誤解、信頼性低下を防ぐため | 専門的な翻訳者の起用+社内レビュー体制(IR部門、法務、経営企画など)を事前に整備する |
英語での表現・用語統一のルール整備 | 統一する用語や表現スタイルのガイドライン有無 | ドキュメント全体の一貫性を確保し、読者の理解度を補うため | 前回の翻訳やIR資料から用語集を整備し、翻訳者・編集者と共有 |
原稿確定スケジュールの設定と遵守 | ・日本語版の原稿確定時期 | 原稿の遅延が翻訳作業に直結し、納期遅延やミスを引き起こす可能性があるため | 各部門と調整し、余裕ある翻訳期間を確保する |
ターゲット読者(海外投資家等)に合わせた情報設計の確認 | 英語版独自に強調すべき情報や、読者にとって馴染みの薄い内容への補足の有無など | 海外投資家など異なる文化的・経済的背景の読者に向けた効果的な情報提供が求められるため | 重要用語の補足説明、グローバルスタンダードとの整合性を意識した編集方針を立てる |
関係者との役割分担・承認フローの明確化 | ・誰がどの工程を担当するか | 承認遅れ・責任の曖昧化がトラブルの原因となるため | プロジェクト開始時に責任者・レビュワー・承認者を明示し、全体スケジュールとともに共有 |
今回は、英語版統合報告書を制作依頼するにあたって、プロジェクト開始前に押さえるべき5つのポイントを紹介しました。
英語版統合報告書は、日本語版の単なる翻訳ではなく、「企業価値をどう英語で伝えるか」が問われる、重要なコミュニケーションツールです。だからこそ、プロジェクト開始前に確認すべきことをしっかり押さえておくことが、スムーズな進行と納期遅延の防止につながります。
また、ポイントを押さえた上で大切なのは「誰に・どの企業に依頼するか」も重要です。実績が多く経験値の高い、安心して依頼のできる制作会社を選びましょう。
オレンジ社では英語版統合報告書の制作に特化したワンストップサービスを提供しています。レポートに関する翻訳・制作実績も豊富なので、以下の特徴で、貴社の課題をトータルに解決します。
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統合報告書/サステナビリティレポートの実績多数
とても小規模な会社ながら、CSRレポートの時代から制作支援を行ってきており豊富な実績が強みです。過去の経験を活かし、案件の特性に応じた支援が可能です。
国際ガイドライン準拠
GRI・SASBなどの国際基準に精通した専門の翻訳者が翻訳を担当し、海外投資家にも信頼される高品質。
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