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日本語版制作とはどう違う?統合報告書英語版の制作フローが丸わかり!

日本語版制作とはどう違う?統合報告書英語版の制作フローが丸わかり!


はじめに


「日本語版の統合報告書は慣れているけれど、英語版はどう進めたらいいのか分からない」

そんな声を、当社にお問い合わせいただくお客様からよく耳にします。

直訳では伝わらない表現やESG特有の専門用語の使い方、ネイティブチェックで確認できる範囲……など、英語版の統合報告書の制作には独自のポイントがあります。


本コラムでは、統合報告書などのレポート制作のご相談をよく受ける制作会社の営業として、これまで複数社の統合報告書制作に携わってきた経験をもとに、英語版作成の基本フローと実践的なポイントを解説。英語に不安がある担当者でも、安心して一歩を踏み出せるヒントをお届けします。



課題の深掘り


どう進めたらよいか分からないという上記のような課題が生まれる背景には、日英制作スケジュールの組み立て方の複雑さ、英語による情報開示の経験不足などがあります。

また、英語版の制作フローやポイントをきちんと理解しないうえで日本語版と同じように制作を行ってしまうと、企業の本来の価値が海外のステークホルダーに正しく伝わらず、信頼や投資機会の損失にもつながりかねません。



実際の制作フロー


【1. 一般的に当社で行われる英語版統合報告書の制作フロー】

英語版統合報告書の制作は、日本語版の制作状況も考慮しながら、複数の工程を段階的に進めていく必要があります。

翻訳前の準備からDTP、リンク設定、最終的な校正まで、それぞれの工程で専門的な対応が求められます。以下に、当社の制作の際によく用いられる一般的な制作フローをご紹介します。


■ 統合報告書英語版の一般的な制作フロー

① 制作要件の確認

(制作目的、翻訳対象の範囲・分量、翻訳のみ/翻訳+ネイティブチェック/翻訳+DTPなどの作業内容)

② キックオフミーティング

(制作範囲・スケジュール・各担当者の役割等の確認、参照資料・過去の英文制作物などの確認)

③ 翻訳(原稿整理・対訳表作成・翻訳、クライアントからのフィードバックに基づく修正対応など)

※必要に応じて、表現の方向性をすり合わせるための試訳も実施いたします。

④ 英文DTP制作

⑤ (第三者校正(プルーフリード)・リンク設定)

⑥ 最終修正、リンク設定・検証作業

⑦ 納品データの準備(WEB閲覧用PDF・印刷用データなど)



【2. キックオフミーティングの際の確認事項】

英語版統合報告書の制作を円滑に進めるうえで、翻訳作業に入る前、つまりキックオフミーティングの段階でのすり合わせは大変重要です。

特に、翻訳を単なる言語の置き換えとするのではなく、企業の価値や将来性を海外のステークホルダーに向けて正確かつ魅力的に伝えるためのコミュニケーション手段と捉えるのであれば、事前に翻訳者に共有しておくべき情報やルールは多岐にわたります。


■ 主な確認点

・制作要件の確認

 (制作目的、翻訳対象の範囲・分量、翻訳のみ/翻訳+ネイティブチェック/翻訳+DTPなどの作業内容)

・日本語版の制作スケジュールの確認(原稿FIX日、DTP完了日など)

・英語版制作スケジュール作成のための各項目の確認

 (原稿のFIX日、日本語版のDTP完了日、翻訳レビューに必要な日数、納期の確認など)

・役割分担などの確認

 (翻訳用の原稿はだれが用意するか、担当者の窓口はだれか)

・参照資料、過去の英文制作物、用語集の有無、英文スタイルの確認

・英訳対象のファイル形式(Word、PDF、InDesignなど)

・原稿ファイルの命名規則の設定(目的:ファイル管理のバージョンの明確化)

・制作体制の確認(制作側の体制、レビュー側の体制)


翻訳作業をスムーズに進め、品質とスピードの両立を図るためには、キックオフ段階で翻訳会社や外注先と確認事項を丁寧にすり合わせておくことが重要です。

翻訳作業は、着手前の準備が成果を大きく左右します。作業開始前に十分な準備を整えましょう。


詳細は、こちらのコラムをご覧ください。

※参考:「ディレクター必見!英語版・統合報告書のプロジェクト開始前に確認すべき5つのポイント



【3. 英語翻訳の基本】

続いて、翻訳工程の中で、弊社の翻訳チームが行っている基本的な作業内容について紹介します。


原稿整理・対訳表作成

まず初めに行うのが「原稿整理」です。クライアントから支給されたファイルから英訳対象のテキストを抜き出し、原文(通常は日本語)と、その翻訳文(通常は英語など)を左右または上下に並べて表示した形式の対訳表を作成します。分量が多いと時間もかかりますが、翻訳の土台を整えるうえで非常に重要な工程です。こちらの作業は、クライアントか弊社で担当するかはキックオフの際に決めます。


翻訳

原稿整理が完了したら、翻訳作業に入ります。一次翻訳は、日本語能力試験(N1)を保持し、レポート分野での翻訳実績があるネイティブが担当します。


クロスチェック

翻訳後は、原文のネイティブであり翻訳対象言語にも堪能なバイリンガルのチェッカーが、原文と訳文を照合しながら、誤訳やニュアンスのずれ、不自然な表現がないかを丁寧に確認します。必要に応じて翻訳者に修正を依頼し、問題が解消されるまでこの工程を繰り返します。


当社翻訳コーディネーターによる最終確認

当社の翻訳コーディネーターが翻訳原稿をチェックし、修正内容に問題がないことを確認後、事実確認が必要な点をまとめた申し送りを作成し、ご提出いたします。


こうした多段階のチェック体制により、安定した品質の翻訳をご提供しております。



【4.英文DTP の基本】

英語版の統合報告書では、完成した翻訳を流し込むだけではなく、日本語とは異なる言語特性を考慮したレイアウト調整が必要です。

DTP作業に入る前の準備や、作業中のチェックポイントを押さえておくことで、後工程の手戻りを防ぎ、クオリティの高い英語版が完成します。


■ 主な注意点と対応ポイント

制作データの事前チェック

英文を流し込む前に、データの構造や体裁に不備がないかを確認します。自社で制作したデータの場合は、社内のデザイナーとも連携し、DTP後のトラブルを防ぎます。


フォント・行間の調整

日本語と英語では、行間や文字サイズの見え方が異なるので、日本語版とできるだけフォントサイズを合わせつつ、英語の特性に合わせて行間を調整し、読みやすさを保ちます。


図版・画像の配置

基本的には日本語版と同じ位置関係になる様配慮しつつ、英語版としての見栄えや読みやすさを考慮したレイアウトを行います。


化学式や単位記号の処理(例:CO₂, H₂O, m²など)

DTP工程では化学式や単位記号の下付き文字・上付き文字の設定が外れてしまうことがあるため、DTP作業完了後にDTPオペレーターと翻訳コーディネーターがそれぞれの視点チェックを行い、すべて適切な表記になっているかを確認しています。


強調表現の引き継ぎ

日本語版で文字色や文字スタイル(斜体・太字など)が設定されている箇所については、翻訳原稿入稿時にオペレーターへ明確に指示を行い、英語版でも正確に再現されるよう配慮しています。


レイアウトチェックの徹底

原稿の反映漏れ、流し込み箇所のミス、改行位置のずれの有無など、問題なくレイアウトがなされているかを丁寧にチェックします。



【5. プルーフチェック(オプショナル)】

翻訳および英語版レイアウト作業が一通り完了した後、仕上げに向けた最終確認工程に入ります。

この段階では、英語版報告書の完成度をさらに高めるため、クライアントのご希望に応じてネイティブによる全体プルーフチェックを実施することがあります。


プルーフチェック

翻訳後の最終確認として、スペルや文法のほか、レイアウトとの整合性、数値や固有名詞の正確さ、表現の自然さなどを確認します。英文が誤解なく読みやすい内容になっているかをチェックする重要な工程です。指摘のあった箇所は申し送りのうえでクライアントに確認し、修正反映が必要とされたものに対し、再度修正対応を実施いたします。



【6.リンク設定・検証】

リンク設定・検証作業

インタラクティブPDFとして公開される場合には、目次や章ごとのインデックス、図表内や脚注のリンク設定・検証作業も行います。外部サイトや関連資料への参照リンクを正しく動作させることで、利便性と閲覧性を高めます。スマートフォンやタブレットでの閲覧を想定する場合も、リンクの視認性や操作性に配慮しています。



【7. 印刷・データ納品】

すべての翻訳・DTP工程が完了し、最終チェックも済んだら、いよいよ納品フェーズに移ります。英語版統合報告書の納品形式は、目的に応じてさまざまです。

PDF形式での納品の場合や、印刷を前提とした高解像度データ、ウェブ掲載用に軽量化したファイル、インタラクティブ機能を備えたPDFなど、用途に応じたデータをご準備いたします。

また、印刷をご希望の場合には、提携する印刷会社と連携し、仕様に合わせた最終調整や色校正、納品スケジュールの管理も行います。



まとめ:英語版制作の第一歩は「準備」と「すり合わせ」から


英語版の統合報告書は、日本語版の単なる翻訳ではなく、企業価値を国内外に伝える重要なツールです。そのためには、翻訳・DTP・校正・納品といった各工程での専門的な対応に加え、プロジェクト開始前の段階でどれだけ丁寧な準備と関係者間のすり合わせができるかが、とても重要になります。

「何から始めたらいいか分からない」という段階からでも、当社が全体像を把握し、必要な体制とスケジュールを組み立てるところからお手伝いしますのでご安心ください。

本コラムが、英語での情報開示に不安を感じている担当者の方にとって少しでも参考になる内容であれば幸いです。






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