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POSTED : 2020.08.18

【調査レポート】統合報告書・CSR報告書における新型コロナウイルスに関する報告の動向(2020年上期発行)

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本国内でも2020年3月以降に本格化し、4月には緊急事態宣言の発令に至りました。上場企業を中心に発行が定着してきた、統合報告書やCSRレポートは、例年4月~9月にかけて発行されてきましたが、その報告内容に新型コロナウイルスの影響がどの程度記載されているのか関心の集まるところです。

 

トップメッセージやリスクマネジメントに関する報告の中で、新型コロナウイルス感染拡大の影響について、どれほどの企業が記載をしているか、2020年4月~8月に発行された統合報告書・CSRレポート35誌を対象に調査をしました。(オレンジ社調べ/2020年8月5日時点)

 

■ トップメッセージで多くの企業が新型コロナウイルスの影響について言及

 

約8割の企業のトップが新型コロナウイルスによる影響について、自社事業への影響はもちろん、社会的な影響も考慮したメッセージを発信しています。報道等でも苦境を見聞きする機会の多い飲食業界や、取引先の裾野が広い原材料メーカーのトップからは、当期の業績への影響が既に顕著になりつつあることが述べられています。経済への深刻度が増した7月以降に発行された報告書では、その割合は9割超にまで上っています。

 

  • トップページでの新型コロナウイルスへの言及
  • トップページでの新型コロナウイルスへの言及7-8月

 

■ 新型コロナウイルス感染拡大に対するリスク分析と対策の構築はこれから

 

ガバナンスに関する報告の中で述べられることが多いリスクマネジメント。事業活動におけるリスクの分析と合わせて、対策・対応の考え方や施策を明示することが求められます。新型コロナウイルスは事業活動に少なくない影響を与えることに、現時点(2020年8月)に至っては異論がないと言えます。

4~7月にかけて発行された報告書においては、編集期間内での、新型コロナウイルスの感染終息の目処が立たなかったこともあり、リスク分析を間に合わせることができなかった企業が多かったと考えられます。また、報告対象期間外のできごとであることを明確に伝えるために、新型コロナウイルス感染拡大による影響は反映していないことを注記し、報告している企業も見受けられました。

7月以降に発行された報告書に限ると、新型コロナウイルスに関するリスクマネジメントに言及する企業の割合が5割に迫っており、8月以降に発行される報告書では大多数の企業が新型コロナウイルスのリスクマネジメントに言及するものと考えられます。

 

  • リスクマネジメント報告での新型コロナウイルスへの言及
  • リスクマネジメント報告での新型コロナウイルスへの言及7-8月

■ 事業に与える新型コロナウイルス感染拡大の影響の分析・報告は外食産業等が先行

 

2020年4月~7月にかけて発行された報告書における、報告対象期間の多くは 2019年1~12月、2019年4月~2020年3月です。事業報告の内容はその対象期間の業績結果を踏まえて報告されるため、今回調査対象となった報告書のうち、報告対象期間を2019年1~12月とする企業の多くでは、事業報告の中で新型コロナウイルスへの影響に触れていません。一方、報告対象期間を2019年4月~2020年3月とする企業では7割近くが事業報告の中で、新型コロナウイルスの影響について、深掘り度合いの差はあるものの、言及しています。報告対象期間を2019年4月~2020年3月とする企業の報告書発行は9月頃まで発行が続くものと考えられますので、事業報告における新型コロナウイルスの影響に言及する企業の割合はさらに高まると考えられます。

今回、分析対象とした報告書の中では、事業への影響が既に顕著となっている外食産業分野の企業における分析・報告が顕著でした。

 

  • 報告対象期間2019.1~2019.12 事業報告での言及
  • 報告対象期間2019.4~2020.3 事業報告での言及7-8月

 

■ 中期経営計画への影響や見直しへの着手に関する報告はこれから本格化する見込み

 

新型コロナウイルスの感染拡大と長期化は避けられなくなっています。その影響度合いの高い業界を中心に、中期経営計画を見直す動きが本格化しています。7月までに発行された報告書の中で、中期経営計画の見直しに言及している企業は1割強ですが、7-8月に発行された報告書に限ると3割を超えます。一部企業においては、コロナ禍で緊急に立ち上げた事業を中期経営計画に組み込む意向を報告書で表明するという動きや、計画達成目標時期の延長を表明する動きも見られました。

機関投資家・株主が今後注視してくることは間違いなく、9月以降に発行される報告書では中期経営計画への新型コロナウイルス感染拡大の影響に言及する企業は増えるものと考えられます。

 

  • 中期経営計画への新型コロナウイルスの影響についての言及
  • 中期経営計画への新型コロナウイルスの影響についての言及7-8月

 

■ まとめ

・ トップメッセージでは大半のトップが新型コロナウイルス感染拡大の影響に言及

・ 新型コロナウイルスのリスク分析報告はこれから本格化すると考えられる

・ 事業への新型コロナウイルスの影響は、今後大半の企業が報告書内で言及すると思われる

・ 中期経営計画の見直しの動きは見受けられるものの、現時点では一部企業に留まる

 



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